フトアゴヒゲトカゲ ベビーのケアシート(初心者向けガイド?)
king of pet lizardとして名高い?フトアゴヒゲトカゲ(以下フトアゴ)の
ベビーケア的なものを記事にさせて頂きます。
あくまで当店『Hachural-life』でのケアシートですので
他のブリーダーさんやショップさんとは大きく違う部分もあるかと思います。
情報収集されてる方が、この記事を咀嚼しベストな飼育環境を作れることを願っています。
なかなか長いページになってしまったので目次のリンクから見たいとこに飛んでくださいね。
飼育環境の設定
飼育するにあたって環境設定は最も重要なファクター!!!
色んな飼育書に色んな環境が書かれてるんですが、
地域によっての違いが顕著だと思います。
飼育書などを参考にして飼育される方の調整が必ず必要になります。
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ケージの選択
大きくなることを見越して最初から大きいケージでって思う人が多いと思うんですけど
ベビーの間のケージは広すぎないほうが良い!と考えてます。
まぁ、全然大丈夫だよーって人も多いとは思うんだけど、
あくまで『死なせてしまう確立を軽減する!』これが趣旨だからね。
で、その理由として...
- 撒き餌にしている虫を発見しにくい。
- 餌虫を追いかけている間に体力を消耗してしまう。
- スムーズに水場への移動ができない。
大きく感じたのはこの3点です。
広いことがデメリットになるって訳じゃないんですけど
『給餌や給水をいかにスムーズに行えるか?』
これは重要なファクターだと思います。
「ケージが広すぎるから死んでしまった」
なんて話は聞いたことはないですが、
他種で餌を追いかけるのに疲れて、食い気が無くなる個体の話は稀に聞くんですよね。
そういう点も踏まえて、
『給餌給水をする際の体力の消耗をいかに抑えるか?』
という視点で狭いケージを推奨しています。
ベビーの全長の3倍を目安としてW450×D300×H350mmから
徐々にケージをサイズアップしていくのが理想かなと思います。
ただ、その都度ケージを買いなおすとなると出費も大変なので...
代用品としてジャンプしても乗り越えれないサイズのプラケースや
水槽などを使うのもアリだと思います。
水槽ですと既製品に使用できるメッシュネットも販売されるので、
導入コストはケージを購入されるより随分と楽になります。
当店では幼体から成体までのプロセスを三段階として
以下のようにケージを変更してるので参考にしてください。
- 幼体 W450×D300×H350の水槽+メッシュネット
- 亜成体 W600×D450×H450のケージか水槽+メッシュネット
- 成体 W900×D450×H450のケージ
床材
ペットショップに行くと色んな床材が売ってたり
Twitterなんかで情報収集してると色んなものつかってたり...
いや、どれが正解なの?ってなりますよね(笑)
ちゃんと育ってれば全部正解で、全部が最適解じゃないと思ってます。
景観に重点を置くか、清潔感に重点を置くかでも変わってきますしね。
とりあえず、うちの店ではベビーの間は清潔さを重視でペットシーツをお薦めしています。
交換も容易に出来ますしコストパフォーマンスも◎!
清潔さの他にも餌を視認しやすいという点でも優れていると思います。
国内外のサイトを見るとスレートタイルや人工芝などが
安全な床材として推奨されてたりします。
でも、それは亜成体から成体の話が大半かなと解釈してます。
下にベビーに使うと心配な点を列挙しておきますので床材選択の参考にしてください。
- 爪の引っ掛かり(ペット用の洗える絨毯など)
絨毯などの網目に爪が引っ掛かり、無理に引き抜く際に爪や指が飛ぶことがあります。 - 断面が鋭いもの(人工芝など)
特にレザーやシルクなどの鱗が弱い個体は注意が必要です。
知らぬ間に傷が入り化膿して大事に至る。
なんて相談が稀にあります。
思っている以上にベビーの鱗・皮膚は弱いので注意が必要です。 - 誤飲誤食(砂利・ココナッツサンドなど)
これも時おり相談を受けるのですが誤食による腸管閉塞があります。
食欲旺盛な幼体から亜成体の間に多いように感じますが、
成体になった個体でも稀に聞きますね。
また、噂でしかきいたことがなんだけど、
カルシウムサンドを使用したことによって腸管で吸収されなかったカルシウムが
腸壁に付着し腸管閉塞を引き起こしたという噂も耳にしたことがあります。
ソース不明なので気にしなくてもいいかもなんですけど...
もし罹患したら教えてください。
以上の危険性?を考慮した上でペットシーツがマストアイテムだなと思っています。
ライトと熱源
先に記載したようにベビーでは小型のケージを使用して・・・
で、一般的に紹介されているバスキングライト(ハイパーサン・パワーサンなど)を
使用するとベビーはあっという間に干上がってしまいます。
成体におけるUVや熱量の要求量とベビーのそれは異なることを
念頭に話を進めていきます。
フトアゴのケージにはUVライト・バスキングライトは必要です。
どちらかが欠けていても後々に重大な問題を引き起こす可能性があります。
※クル病や骨形成不全・内臓疾患も考えられます。
UVライトでビタミンD3の生成・バスキングライトで食物の消化吸収を促進
みたいな感じで考えてもらえれば大丈夫かな。
成体で使用するハイパーサンなどはUVも照射でき熱源としても
スポットを温めるうえで非常に優秀なライトなんですが
小さなケージでは熱量が強すぎてべビーがクールダウンする環境が
作りにくくなってしまいます。
そこでお薦めしたいのが
UVライトにZoomed T-5HOやUVを発生させるスパイラルライト!
(ゆくゆくはリンクを貼ります…)
バスキングライトに
zensuiのマイクロサン!です。
こちらは他のバスキングライトが熱を放射状に発生させるのに対し、
直線状に熱量が出る感じのライトだと経験上は感じてます。
ライトの下部の半レンガやシェルターを暖めて
腹部からの熱量で消化を促すイメージになります。
(こちらもリンクは後程…)
UVライトは正しいレベルを維持するために、
約6か月を目安にUV電球を交換したほうがいいです。
UVI測定器があれば測定して弱くなってたら交換するのもいいかと思います。
UVライトとバスキングスポットは、
食物を消化し栄養素を代謝し健康的な体作りに活躍します。
ケージ内には45℃程度に保たれたバスキングスポットと
クールダウンできる26-28℃程度の広い空間を作りましょうね。
ケージ周辺が寒く日中でもケージ内の空間温度が26℃に満たない場合は
パネルヒーターやミドリ商会のダントツなどを使用すると
ケージ内は暖まります。
こちらも使用方法が人によって違うんだけど、
● パネルヒーターをケージ下に設置する人
● パネルヒーターを側面に張り付ける人
ご自宅の温度環境に合わせて調整しましょう。
温度制御には市販のサーモスタットで優秀な商品がありますので、
そちらで調整するのがいいと思います。
部屋全体をエアコンで管理されている場合は
Iotのコンセントでの管理が非常に楽になります。
ハイドレーション
かっこよく英語で書いてみたんですが、給水です。
フトアゴ飼育における湿度の状況は通常かなり乾燥した状態であるように思います。
どの飼育書見ても大体は湿度は低めって記載されてますよね?
ベビーが生息するにあたって果たして正解なのか?
過乾燥による脱皮不全で指輪ができて指欠損や尻尾の先端が欠損したりと
色々な弊害があります。
当店でブリードしたベビー達には日に一度の10-15分の入水と
シリンジによる水分の経口摂取を行っています。
こう書いてしまうと難しく感じるのですが、
- 入水させ剥がれきれなかった脱皮片をふやかし剝がれやすくする。
- 総排泄口から逆流して入った水分を腸管で吸収させる。
- 鱗・表皮を清潔に保つ。
上記の3点が目的です。
経口摂取に関しては喉が渇いていれば飲みますし乾いてなければ飲まない。
ほんと単純なことなんだけど、体内の水分量が少ないと脱皮不全に繋がる!
といったデータもありますので飲むなら飲ませましょう。
無理に飲ませすぎて水中毒なんかもない話ではないので
嫌がる個体には無理して飲ませなくてもいいと思います。
当店ではケージ内に5mm程度の水を張ったステンレスパンを設置しています。
中央にバスキングスポットになるロックシェルターを置いているので、
バスキングする前に入水してからの乾燥といったサイクルを作っています。
ただし、水が深すぎないように注意してくださいね。
入水したまま眠ってしまうベビーもいますので溺れてしまう危険性があります。
ステンレスパンなど設置できない場合も日に1度は霧吹きで
体を湿らせてあげると脱皮不全の予防にはなるかと思います。
給餌方法
ベビーの給餌は何回も繁殖させても、いつも不安です。
ここでは店での飼育で最もベターであろう給餌方法を書きたいと思います。
- ケージ内に撒き餌
一定数量を撒き餌し翌日に残数量を確認する。
最も簡単な給餌方法なんですけど
毎日のメンテナンスにもつながりますし、健康状態のチェックにもなりますね。 - ピンセットでの給餌
こちらもオーソドックスな給餌方法ではありますが、
初心者のうちに1番悩む給餌方法でもあります。
どの成体に関してもですが『ピンセット慣れ』をしていない個体は
なかなかどうして食べてくれないんですよね。
慣れればピンセットだけでも嚙みつきに来るようになりますが
そこまでは根気が必要です。
最初っから来る子もいるんですけどね(笑) - レプタイルディッシュに置き餌
撒き餌に似通ったスタイルにはなりますが、
ディッシュに餌虫とペレット状のフードを置き餌することで
両方を食べてくれるようになるメリットが大きいです。
こちらも『ピンセット慣れ』同様に。
そこに餌がある!の認識ができるまでは根気がいるかと思います。
その他に小松菜などの葉野菜や果物など上げる場合は細かく刻んだり
すりおろしたものを別皿にて給餌しています。
食べる際に噛みやすい大きさや消化吸収する際に
問題がないようにするのが大事だと思います。
餌について
デュビア・コオロギ・ミルワームなど
好んで食べるものを見つけると本当に嬉しいです。
それを見ただけでケージのガラス面に飛びついてくるなんて
愛らしいにもほどがあります(笑)
うちではデュビアをメインにコオロギやミルワームをあげています。
イベントなどでシルクワームやハニーワームなどが手に入るようであれば
試しにあげてみるのも良いかもしれません。
それぞれの食べ方も飼育の楽しみの一つになります・
基本的に給餌する餌のサイズは目と目の間に収まるものが消化に良いとされます。
置き餌が出来ない場合は、1度に食べきる量をあげるといいと思います。
ただ、過食だなと感じた場合は控えるのも良いと思います。
加減なく食べさせすぎて内臓に疾患が出ることもありますので、
生体の調子を見ながら調整してあげてください。
ガットローディングとダスティング
フトアゴの栄養バランスを考えるうちに
ダスティングやガットローディングに挑戦することになるかと思いますので
追記させて頂きます。
ダスティング
これは言わずと知れたといった感じの話にはなりますが、
『餌虫にサプリメントを添加する』
もっとも有名なのはカルシウムの添加ですね。
昆虫や野菜からだけで不足しがちなカルシウムを添加して成長を促進するのが目的です。
ただし前述しましたが、腸壁にカルシウムが付着し腸閉塞なんて噂もありましたので
週に数回を適量でいいと思います。
次に有名なのはビタミンD3の添加
UVライトを使用しないヤモリ系の爬虫類にはよく使われています。
フトアゴでもUV照射が少なくビタミンD3生成不足を補うために使われることがあります。
ビタミンD3が不足するとカルシウムの吸収率が下がりクル病の原因になることもあります。
ガットローディング
これは専門的な記事を読んだほうが分かりやすいと思いますが
簡単に説明しますと餌虫にドッグフードや新鮮な野菜などを上げることで
餌虫自体が高栄養になり飼養している成体の健康に役立つといったところです。
最後に
あくまで当店でのやり方です!!!を前提に記事を書かせていただきましたが、
小さなフトアゴをお迎えになった方の参考になればと思っております。
飼養飼育には最適解などないと思っております。
が、大事なペットと共存し健康な状態でいてもらうことは人間にしかできません。
この記事で、いくつかの話をしましたがが、
フトアゴの年齢が上がるにつれて、新しいサイズのケージや好みの食性も変わってきます。
色々と互いに挑戦しながら健康な状態を維持してください。
ペットの健康上の懸念や、目に見えてわかる疾患がある時は
獣医さんで診療を受けてくださいね。
近くに爬虫類を見れる獣医さんがあるかを探すのも重要なプロセスです。
フトアゴベビーが、しっかりアダルトまで育つことを願っています。
適切に飼育をすればフトアゴベビーはすぐに強く大きくになり、
長い時間を共に楽しめると思います。